この記事について
クラウドインフラの分野に明確にコンプレックスがあるので、基礎から学習するための個人的な入門記事です。
目次
Introduction

Webサイトにアクセスするとき、私たちは普段「google.com」や「example.com」といったドメイン名を入力する。しかし、インターネットの世界では、実際の通信は「142.250.207.14」などの IPアドレス を使って行われています。では、なぜ私たちはIPアドレスではなく、ドメイン名でサイトにアクセスできるのでしょうか?
IPアドレスとは
IPアドレスは インターネット上の住所 のようなもので、各サーバーには固有のIPアドレスが割り振られています。IPアドレスは通常、「xxx.xxx.xxx.xxx」 のように4つの数字のブロックで表されます(IPv4の場合)。
例えば、Googleのサーバーの一つには 「142.250.207.14」 というIPアドレスが割り振られています。このIPアドレスを直接ブラウザに入力すると、Googleのページにアクセスできます。
なぜ「google.com」と入力するだけでアクセスできるのか?
通常、私たちは「142.250.207.14」のようなIPアドレスを覚えるのではなく、「google.com」といった ドメイン名 を使ってWebサイトにアクセスします。しかし、コンピュータは IPアドレスでしか通信できない ため、ドメイン名をIPアドレスに変換する必要があります。
この変換を行うのが DNS(Domain Name System) です。
DNSとは?
DNS(ドメイン・ネーム・システム)は、ドメイン名とIPアドレスを対応付けるシステム です。ドメイン名をIPアドレスに変換することを 名前解決(ネームリゾリューション) と呼びます。
名前解決の流れ
- ユーザーがブラウザのURL欄に「google.com」を入力
- コンピュータは「google.com」のIPアドレスを知るため、DNSサーバーに問い合わせる
- DNSサーバーが「google.com」のIPアドレス(例:142.250.207.14)を返す
- ブラウザが返されたIPアドレスにアクセスし、Googleのサーバーと通信を開始
ハードウェアの基本構成

装置 | 説明 | 性能指標 |
---|---|---|
CPU | サーバーの「頭脳」ともいえる部分で、すべての計算や命令処理を担当します。プログラムの実行、データの処理、タスクの制御など、あらゆる処理の中心となります。 | CPU使用率 |
メモリ | 一時的なデータの保存場所であり、CPUが高速にデータをやり取りするために利用されます。メモリの容量が大きいほど、より多くのデータを同時に処理できます。 | メモリ使用率 |
ストレージ | データを長期間保存するための装置 です。サーバーでは主に SSD(Solid State Drive) が使用され、高速なデータの読み書きが可能です | ディスク使用率、I/O性能 |
NIC | サーバーとネットワークを接続するためのパーツです。インターネットやローカルネットワークに接続し、データの送受信を行います。 | ネットワーク帯域幅 |
サーバーとは
「サーバー」という言葉はよく使われるが、その実態は「特定の役割を持つコンピュータ」と考えることができる
- Webサイトを公開するならWebサーバー
- データの管理が必要ならデータベースサーバー
- メールの送受信をするならメールサーバー
ただし、物理的に「Webサーバー専用マシン」「データベース専用マシン」があるわけではなく、OS(LinuxやWindows Serverなど)をインストールしたコンピュータに、必要なソフトウェア(NginxやMySQLなど)を入れることで、それぞれの機能を持たせることができる。

ネットワークとは
ネットワークとは、複数のコンピュータが相互に通信できるようにする仕組みです。
インターネットに接続するネットワークでは、「TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)」という通信プロトコルが標準的に使用されます。
TCP/IPでは、ネットワーク上のすべての機器に「IPアドレス」が割り当てられます。例えば、「10.0.1.10」のように ピリオドで区切られた4つの数字 で表されるのが、一般的な IPv4アドレス です。
「パブリックIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」
IPアドレスには、大きく分けて 「パブリックIPアドレス」 と 「プライベートIPアドレス」 があります。
パブリックIPアドレス
- インターネットに接続するためのIPアドレス
- ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers) によって管理され、各国・ISP(インターネットプロバイダ)に割り当てられる
- 世界中で一意 であり、重複することはない
例えば、自宅のWi-Fiやスマホのネットワークは、ISPから提供されたパブリックIPアドレスを介してインターネットに接続しています。
プライベートIPアドレス
- 社内LANや家庭内ネットワークで使用するIPアドレス
- インターネット上では使用されないため、自由に割り当て可能
- ルーターやネットワーク機器を介してインターネットと接続する
以下のIPアドレス範囲はプライベートIPアドレスとして予約されています。
IPアドレス範囲 |
---|
10.0.0.0 ~ 10.255.255.255 |
172.16.0.0 ~ 172.31.255.255 |
192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 |
IPアドレス範囲と表記
IPアドレスは、ネットワーク内で一意である必要があります。ネットワークを構築する際、IPアドレスの割り当てを適切に設計することが重要です。
IPアドレス範囲の決め方
ネットワークで使用するIPアドレスの範囲は、以下のように 2のn乗単位 で区切る必要があります。
区切り方 | IPアドレス範囲の例 |
---|---|
256個 | 192.168.1.0 ~ 192.168.1.255 |
65536個 | 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 |
IPアドレスは、
前半部分(ネットワーク部) → そのネットワークの共通アドレス
後半部分(ホスト部) → 各デバイスに割り当てるアドレス
に分かれます。

ネットワーク部は、同じネットワークに属する限りは、同じ値になります。そしてホスト部が、割り当てたいサーバーやクライアント、ネットワーク機器に対する連番となります。
CIDR表記とサブネットマスク表記
「192.168.1.0 ~ 192.168.1.255」や「192.168.0.0 ~ 192.168.255.255」といった表現は長いため、通常、IPアドレス範囲を示すときには、「CIDR表記(サイダー:Classless Inter-Domain Routing)」もしくは「サブネットマスク表記」のいずれかの表記を用います。
CIDR表記
CIDR表記では、IPアドレスのネットワーク部のビット数を/24
のように記述します。
例えば、192.168.1.0/24
は ネットワーク部が24ビット であることを意味し、192.168.0.0/16
は ネットワーク部が16ビットであることを示します。
CIDR表記 | ネットワーク部のビット数 | ホスト部のビット数 | IPアドレス範囲 | 割り当て可能なホスト数 |
---|---|---|---|---|
192.168.1.0/24 | 24ビット | 8ビット | 192.168.1.0 ~ 192.168.1.255 | 256個(ホストは254個) |
192.168.0.0/16 | 16ビット | 16ビット | 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 | 65,536個(ホストは65,534個) |

② サブネットマスク表記
サブネットマスクは、ネットワーク部を 「1」、ホスト部を 「0」 で表す方法です。
サブネットマスクとは、IPアドレスのネットワーク部を 「1」、ホスト部を 「0」 で表現する32ビットの値です。 これにより、ネットワークの範囲を決め、適切に通信を制御できます。
サブネットマスクは CIDR表記(/24、/16など) と対応しています。
CIDR表記 | サブネットマスク | IPアドレス範囲 | ホスト数(使用可能なホスト数) |
---|---|---|---|
192.168.1.0/24 | 255.255.255.0 | 192.168.1.0 ~ 192.168.1.255 | 256個(254個) |
192.168.0.0/16 | 255.255.0.0 | 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 | 65,536個(65,534個) |

サブネット
サブネット(Subnet)とは、大きなネットワークを より小さなネットワークに分割 することを指します。例えば、10.0.0.0/16 のネットワークを /24 に分割すれば、256個のサブネット が作れます。
サブネット化の目的
物理的な分離
例: 会社の1階と2階で異なるサブネットを割り当てる ネットワーク障害が発生しても影響を局所化できるセキュリティの強化
例: 社内ネットワークとインターネット公開用サーバーを分ける 内部ネットワークのセキュリティを強化できる
